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先行技術文献に関するEPC規則の改正

 日本国特許庁に対する特許出願を基礎として優先権主張を伴う欧州特許出願(国際特許出願を経由して欧州域内に移行する出願を含む)を行う場合には、出願人側で特に新たな手続きを行う必要はなくなりました。詳細はこちらをご覧ください。

 

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 2011年1月1日以降に出願される欧州特許出願(PCT出願の場合には国際出願日が2011年1月1日以降の出願)が、優先権主張を伴う場合、出願人は、先の出願が最初に出願された特許庁の調査結果の写しを欧州特許庁(以下、EPO)に提出する義務があります(EPC規則141、70b)。
 以下で、改正されるEPC規則141及び新しく追加されるEPC規則70bに関し、EPOが2010年7月28日に出した通達に基づいて説明します。

1. 規則141について

≪概要≫

(1) 先の出願の優先権を主張して欧州特許出願またはPCT経由で欧州域内に移行する国際特許出願の出願人は、先の出願が最初に出願された特許庁(=Office of First Filing:以下、OFF)の調査結果の写しを、欧州特許出願(若しくは移行)と同時に提出する必要があります(EPC規則141(1))。

(2) 出願人が欧州特許出願時(若しくは移行時)に調査結果を入手できない場合には、出願人は、調査結果を入手した後、遅滞なく、調査結果の写しを提出する必要があります(EPC規則141(1))。

(3) 出願人が調査結果の写しを提出しない場合でも、EPO長官によって決定された条件を満たす場合には、規則141(1)の調査結果の写しが適切に提出され且つ出願のファイル内に含まれたものとみなされます(規則141(2))。EPO長官は、日本国特許庁への出願を基礎として優先権主張を伴う欧州特許出願(国際特許出願を経由して欧州域内に移行する出願も含む)も含める旨を決定しました。(2010年12月14日追記)

(4) EPOは、出願人に対して2ヶ月以内にEPC124条(1)の範囲内で先行技術の情報を提供するように求めることができます(規則141(3))。

 

≪注意点≫

(i) 時期について
・ 調査結果の写しは、欧州特許出願出願(若しくは移行)と同時に行う必要があります。
・ ただし、欧州特許出願時(若しくは移行時)に調査結果を入手できない場合には、入手した後、遅滞なく提出する必要があります。

(ii) 調査結果の写しについて
・ OFFによって作成された調査結果であれば、どのような形式のものでも写しの提出の義務があります。出願人等によって作成されたリスト等では認められません。
・ 複数の優先権を主張している場合、出願人は全ての先の出願に関してOFFの調査結果の写しを提出する必要があります。
・ 調査結果の翻訳は不要です。
・ OFFの調査結果に記載されている文献のコピーの提出は不要です。

(iii) 提出義務について
・ 出願がEPOに係属している限り、規則141(1)の義務は生じます。
・ OFF以外の調査結果の写しも提出を要求される場合があります(規則141(3))。
・ 規則141(2)を満たす場合には、調査結果の写しの提出義務が免除されます。たとえば、優先権主張の基礎となる出願をEPOが調査している場合には、出願人は調査結果の写しの提出義務を免除されます。
・ 規則141(2)は、EPOがOFFの調査結果を入手したとみなして自動的に欧州特許出願のファイル内に含めるケースを、EPO長官が決定することを許容しています。EPO長官が決めた条件を満たす場合、出願人は、調査結果のコピーの提出義務を免除されます。調査結果にアクセスできるような電子的なシステムが整備されたOFFに対して優先権主張の基礎となる出願を行った出願人は、提出義務を免除される予定です。EPOは、自動的にやりとりする特許庁を決めていませんが、改正後の規則が実施される前のできるだけ早い時期にさらなる情報を提供する予定とのことです。

(iv) 分割出願の場合
・ 分割出願の場合には、親出願で調査結果の写しを提出すれば、再び提出する必要はありません。ただし、親出願がEPOに係属していない場合には、子出願で調査結果を提出する必要があります。

(v) その他
・ 規則141(3)における“2ヶ月”は、延長できません。

2. 規則70bについて

≪概要≫

(1) EPOは、規則141(1)に関する写しが出願人によって提出されておらず且つ規則141(2)による適切な提出がなされていないと知った場合、出願人に対して、2ヶ月以内に、調査結果の写し、または、規則141(1)に関する調査結果が得られていない意見書の提出を要求することができます(規則70b(1))。

(2) 出願人が(1)の要求期限内に応答しない場合には、欧州特許出願は取り下げられたものとみなされます(規則70b(2))。

 

≪注意点≫

・ 規則70b(1)における“2ヶ月”の期間は、延長できません。
・ 分割出願の場合、親出願に関する調査結果を全て提出していれば、規則70b(1)の要求に応答する必要はありません。ただし、親出願で規則70b(1)の要求に対して未入手の状態を回答した場合、分割出願では、関連する調査結果のコピーまたは未入手の新たな回答を提出する必要があります。

以上

弁理士 鈴木 一晃

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